流木と動物刻 / コンセプト
海を旅してきた流木には、長い時間と記憶が刻まれています。
乾き、削られ、裂け、曲がりーーー
その形はどれも偶然のようでいて、どこか必然のような美しさを持っています。
そんな流木に出会った時、不意に動物の姿が浮かぶことがあります。
見立てはいつもその直感から始まり、その気配を頼りに掘り進めていきます。
作品は全て、自然が作った造形に、人の手をほんの少し添えることで生まれます。
自由な造形ができる素材ではないからこそ、全てを作り切ることはできません。だからこそ生まれる「余白」や「欠け」の中に、命のような美しさが宿ると信じています。
これは自然との対話であり、削ることで立ち上がる命の気配を掬い取る行為でもあります。
流木と動物、その出会いから生まれるのは、静かに息づく「生命のかたち」です。
